奨学金の金利上昇で負担が増えるのは、主に有利子の第二種を利用する人です。ただし、全員の返済額が一斉に増えるわけではありません。2026年10月15日の報道をきっかけに、金利が決まる時期と返済への影響を調べました。
『ちるライフ』のゆういちです。僕も学費の一部を奨学金でまかない、すでに返済を終えています。借りる額によっては社会人になってからの負担が大きいはず。この記事では、2026年10月20日に確認した公式情報をもとに、気になる点を整理します。
金利が上がるのは、どの奨学金?
奨学金と聞くと、全部が同じ仕組みに感じますよね。今回の金利上昇で中心になっているのは、日本学生支援機構(JASSO)の有利子の「第二種奨学金」です。無利子の第一種や、原則返還不要の給付奨学金とは区別して考えます。
| 種類 | 返す必要は? | 金利との関係 |
|---|---|---|
| 給付奨学金 | 原則返還不要 | 今回の貸与金利上昇の対象外 |
| 第一種奨学金 | 返還が必要 | 無利子 |
| 第二種奨学金 | 元金と利子を返還 | 選んだ方式と貸与終了時期などで利率が決まる |
第二種の金利は、財源となる国の財政融資資金の利率に即して決まります。市場の金利情勢が奨学金にも関係する仕組みです。学費のために借りたお金でも、金利が上がれば、卒業後に返す利子の負担は大きくなります。
基本月額の利率には年3%の上限があります。ただし、入学時特別増額貸与などの増額部分は3%を超えることもあります。「奨学金なら、どの部分も必ず3%以内」と考えると、通知された条件を読み違えてしまいます。
2026年9月は固定3%、見直し2.4%
2026年10月20日に確認したJASSOの公表表では、9月に貸与を終えた人の基本月額は、固定方式が年3.0%、見直し方式が年2.4%でした。ここで気をつけたいのが、この数字の対象となる時期です。
表の利率は、その月に貸与が終了した人に適用されるもの。返済中の全員が9月から3%になった、という意味ではありません。また、2027年3月に貸与を終える学生の利率が、2026年9月の数字で確定するわけでもありません。
報道の「1000倍超」は、極めて低かった金利との比較です。0.002%と2.4%を比べると、2.4÷0.002=1200倍。ただし、借りた元金や返済総額が1200倍になるわけではなく、金利の倍率と家計への影響は別に見る必要があります。
固定を選んでも、入学時の金利ではない
僕が特に気になったのは、固定方式でも申し込んだ時点の金利が固定されるわけではないことです。第二種は、原則として貸与終了月に利率が決まります。進学前に見た低い利率を、そのまま卒業後の返済計画に使うのは難しいんですね。
固定方式は、貸与終了時に決まった利率が完済まで続きます。見直し方式は、おおむね5年ごとに利率が見直されます。すでに固定方式で返している人は、市場金利が上がったという理由だけで、その利率が引き上げられることはありません。
見直し方式には金利が下がる可能性もありますが、上がる可能性もあります。2026年9月の数字だけで「見直しのほうが必ず得」とは言えません。低い利率への期待と、返済額の見通しを立てやすい安心感を、どう考えるかが選択のポイントです。
返済額はどれくらい増える?月額でも比べたい
報道では、240万円を借りるケースで利子の増加が紹介されていました。ただ、見直し方式の将来の返済総額は、今後の金利にも左右されます。そこで比較の目安として、JASSOが公表している480万円・20年返還の例を見てみます。
| 年利率 | 返還月額 | 返還総額 | うち利子 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 21,069円 | 5,056,654円 | 256,654円 |
| 1.5% | 23,309円 | 5,594,115円 | 794,115円 |
| 3.0% | 26,914円 | 6,459,510円 | 1,659,510円 |
月額10万円を4年間借りた場合の公式例では、年0.5%と年3.0%で返還総額に約140万円の差があります。月額の差は5,845円。これは同じ借入額で利率を変えた比較であり、すべての利用者に同じ増額が生じるという意味ではありません。
ゆういち「毎月この額が出ていく」と考えると、金利の数字だけより生活に結びつきます
計算は、総額6,459,510円−5,056,654円=1,402,856円、月額26,914円−21,069円=5,845円です。将来の金利改定や個別の返還条件変更を予測した額ではなく、公表例同士の差として見てください。
在学中なら、方式変更の締め切りを先に
「卒業までに考えればいい」と思っていると、学校への提出期限に間に合わないことがあります。JASSOは2026年10月1日、2027年3月に貸与が終わる人へ、変更を希望する場合は早めに学校へ申し出るよう案内しています。
選択中の方式は、スカラネット・パーソナルの「詳細情報」から、該当する奨学生番号を開くと確認できます。第二種の利率算定方法は、貸与終了後には変更できません。締め切りは学校の奨学金窓口で確かめるのが確実です。
- 卒業後の予算に入れておきたいこと
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- 返還開始は原則、貸与終了の翌月から数えて7か月目
- 3月に貸与が終わる場合は、原則として同じ年の10月から返還開始
- 毎月の返還額だけでなく、家賃や生活費を払ったあとに残る金額まで試算
- 第一種と第二種を両方借りている場合は、両方の返還を家計に反映
方式を選ぶときは、JASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」で、借入総額、返還月額、完了時期を並べたいところです。ひとつの金利だけで試すより、複数の利率で月々の負担を見るほうが、卒業後の予算を考えやすくなります。
返済が苦しいときは、減額と猶予を相談できる
返済が始まってから収入が減ったり、病気で働けなくなったりすることもあります。そんなとき、通常の月額を払い続ける以外にも選択肢があります。JASSOには、一定の条件と審査のもとで利用できる減額返還と返還期限猶予があります。
| 制度 | どんなときに検討する? | 負担の変え方 |
|---|---|---|
| 減額返還 | 通常の月額は難しいが、減らせば返せる | 月額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1にし、返還期間を延長 |
| 返還期限猶予 | 返還そのものが難しい | 一定期間、返還を待ってもらう。適用には願出と審査が必要 |
減額返還は、毎月の負担を減らして返還期間を延ばす仕組みで、借金そのものが減る制度ではありません。減額による期間延長で第二種の利子総額は増えず、返還期限猶予も適用期間中は無利息です。自己判断で支払いを止めることとは違います。
減額返還には、願出・審査時点で延滞していないことなどの条件があります。収入の目安も扶養する子どもの人数などで異なります。「もう払えない」となってから抱え込むより、難しくなりそうな段階で相談する意味は大きいです。
少し借りて返し終えた僕も、他人事とは思えない
僕自身も、学費の一部に奨学金を利用していました。借りていた額は多くなく、返済は無事に終えています。ただ、その経験があるからこそ、「社会人になれば返せる」と借入額や金利をひとまとめにはできないと感じます。
就職後は、家賃や食費に加えて、引っ越しや将来のためのお金も必要になります。そこに長期間の返済が重なると、毎月使える金額は変わります。借りた額が大きい人ほど、結婚や子育ての見通しまで心配になるという声も、軽くは受け止められません。
奨学金が進学を支えてくれることと、返済が重くなる不安は、どちらもあると思います。これから返す人は、借入総額と選んだ方式を一度見直すところから。すでに返済が厳しい人は、完済を一人で抱え込まず、使える制度を相談してほしいです。





